てっぺい

余命10年のてっぺいのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
5.0
【作者に入る映画】
主人公と同じ病で亡くなった原作者。その想いや夢を足したという本作は、“生きたい”と強く願った作者が見えるよう。映画がフィクションでありノンフィクションになる不思議な感覚で、涙腺崩壊しっ放し。

◆トリビア
○ 原作者は、主人公の茉莉と同じ病気で亡くなった。(https://shonentachi-movie.jp/yomei10-byoumei/)
〇撮影は、原作者の生まれ故郷である静岡県・三島市で行われた。(https://ja.wikipedia.org/wiki/余命10年#映画)
○小松菜奈は原作者の家族とも面会し、役作りのため、1年間ずっと減量し続けた。(https://www.banger.jp/movie/73823/)
〇コミカライズ作品が「LINEマンガ」にて連載中。(https://ja.wikipedia.org/wiki/余命10年#映画)
○10年という年月、その四季を映し出すため、通常映画の撮影期間は2〜3ヶ月だが、本作は1年かけて撮影された。(https://shonentachi-movie.jp/yomei10-location/)

◆関連作品
〇「愛唄 ―約束のナクヒト―」('19)(余命もの邦画。「GReeeeN」の楽曲映画化プロジェクト作品。プライムビデオ配信中)
〇「Our Friend/アワー・フレンド」('19)(余命ものの実話洋画。涙腺崩壊します。プライムビデオ配信中)
〇「余命1ヶ月の花嫁」('09)(余命ものの実話の邦画。U-NEXT配信中)
○「糸」('20)(小松菜奈の日本アカデミー賞優秀主演女優賞受賞作品。プライムビデオ配信中)

◆概要
【原作】
小坂流加「余命10年」(2017年に発売、累計発行部数65万部)
【脚本】
「8年越しの花嫁 奇跡の実話」岡田惠和
「凛 りん」渡邉真子
【監督】
「新聞記者」藤井道人
【出演】
小松菜奈、坂口健太郎、山田裕貴、奈緒、井口理、黒木華、田中哲司、リリー・フランキー、原日出子、松重豊
【音楽】
RADWIMPS(劇半としては実写映画初)
【公開】 2022年3月4日
【上映時間】124分

◆ストーリ-
数万人に1人という不治の病に冒され余命10年を宣告された20歳の茉莉は、生きることに執着しないよう、恋だけはしないことを心に決めていた。ところがある日、地元の同窓会で和人と出会い恋に落ちたことで、彼女の最後の10年は大きく変わっていく。


◆以下ネタバレ


◆見える原作者
原作者の小坂流加が茉莉と同じ肺動脈性肺高血圧症で亡くなっている事、そして監督が遺族と面会し、原作から大きく足した部分がある事、これを知っていたい。“死にたくない”“結婚だってしてみたい”と茉莉が感情を爆発させたシーンは、まるで原作者が叫んでいるような、この原作を書いている時の小坂流加が見えるようで、圧倒的に胸が締め付けられた。“小坂さんが叶えたかった夢や想いも映画の中に落とし込もうと考えた”という監督(https://www.fashion-press.net/news/84533)。和人や友人達とのパーティーや祭、海、雪山までは実際経験できたものかもしれないが、ラストで和人と家族になった描写はまさにそれ。エンドロールの“小坂流加さんに捧ぐ”の文字に、放出を続けていた涙ダムは完全に決壊。映画が、メッセージを伝える原作者の声で、その想いを汲んだ製作陣の優しさに包まれて届けられた、フィクションでありノンフィクション。本作はまさに彼女の生きた証そのものだと思った。

◆小松菜奈・坂口健太郎
1年間減量し続けたという小松菜奈。最期を迎える病室で、彼女が見せたやつれきった表情は役者魂そのもの。全体的にも原作者が見えるような自然体の演技がよかったし、前述の感情爆発のシーンも素晴らしかった。そんな余命の中で少しずつ命の灯火が消えていく茉莉と対照的に、自殺未遂から一人で店を持つまでに生きる力がみなぎって行く存在として描かれた和人。坂口健太郎の声のトーンを徐々に変える細かい演じ分けも素晴らしかったし、茉莉に余命を告げられ“分かった”と膝から崩れ落ちる演技もとても胸を打たれた。

◆風
“いいなと思ったものは残すようにしてるの”と和人にカメラを向けた茉莉。二人が心を通わせたあの桜並木で吹いた突風は、ラストでもう一度和人に二人の面影を運ぶ。和人の中で永遠に茉莉が生きる、そんな幸せな映画表現で締める本作。また好きな作品が一つ増えました。

引用元
https://eiga.com/movie/95553/
https://ja.wikipedia.org/wiki/余命10年#映画
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