JunichiOoya

ドーナツキングのJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

ドーナツキング(2020年製作の映画)
3.0
ポルポトに追われ難民となったカンボジア旧体制側軍人が移民先のアメリカで成功し挫折しほどほどの暮らしに落ち着く話を追いかけるドキュメンタリー。

旧軍人人脈を使い方、歴代共和党政権との親和性について撮り手は実はもっと知っているんだと思う。もちろん彼がノウハウを学んだ西海岸のドーナツチェーンとのドロドロしたやり取り(ダンキンしか知らぬ私には楽しいエピソードも多々ありましたが)やなにより元妻との確執、そしてギャンブルの深い沼に身を沈めていった経緯についても…。

撮り手が知ってること、知ろうと思えば知り得たこと、そんなことどもに敢えて蓋をして表面的なアメリカンドリームの顛末をドーナツのシュガーコーティングよろしくカンボジア難民連携連帯美談でまとめようとしたコンサバTV番組に終わってしまったのは至極残念。

なんといっても、共和党が本来の主張を展開したトランプの移民政策に一切触れない映画作りには誠実さを感じなかった。

原一男さんにカンボジアに軸足を置いた目線で、カンボジアで暮らす元ドーナツ成金の今みたいなドキュメンタリーを撮っていただけたら、あの戦車シーンもずっと違った意味を持ってくるでしょうね。
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