ももいろりんご

ドーナツキングのももいろりんごのレビュー・感想・評価

ドーナツキング(2020年製作の映画)
3.5
「米カリフォルニア州のドーナツ店90%以上は、カンボジア系アメリカ人が経営していることを知っていますか?」
9割カンボジア系⁉️どういうことでしょう。
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=STORY= *公式HPより
1975年、カンボジア内戦から逃れ難民となり、妻と子と共に、米・カルフォルニア州に渡ったテッド・ノイ。ある日テッドは、近所から漂う甘い香りに惹かれ、ドーナツ店に入る。
一口でドーナツに夢中になった彼は、ドーナツチェーン・ウィンチェルで修行し、自分の店を構える。家族総出で働くなか、店は妻クリスティの気さくな接客が評判を呼び、すぐに繁盛した。テッドは、自分の店で同胞のカンボジア難民を雇い、彼らにドーナツ製造のノウハウを教え、自活の手助けをした。系列店は拡大し、総資産2000万ドル(日本円で約22億円)もの莫大なお金を手にした彼を、皆が”ドーナツ王”と呼んだ。成功を手にしたテッドだが、小さな躓きから人生が思わぬ方向へ転換する。
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ドキュメンタリーだと知らずに観に行ったので、ご本人やご家族、関係者さん当人が語ったり、当時の映像とアニメ交えて再現したり…驚きの構成でした。
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時代背景をきちんと説明しており、前半はカンボジア内戦の映画かと思うくらい。多くのカンボジア人が命を落とし、祖国を捨てねばならなかったことがよくわかる。この内戦はベトナム戦争の余波であり、アメリカが登場し、彼らを移民として受けいた流れも”なるほど”でした。
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今日死ぬかもといったプノンペンから、着の身着のままカリフォルニアに渡ったテッドとその家族達。生活のためテッドは働きまくり、ある日、ドーナツに出会う。
ドーナツチェーンのウィンチェルに学び、助けられ、1976年にカリフォルニア州ニューポートビーチに「クリスティ」1号店を開店する(クリスティは奥さんの名前)。
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渡米の翌年だから、何という早さ。そしてその成果を惜しみなく、仲間のカンボジア人に教え、移民が自活できるような流れを作ったわけで、テッドは、勤勉で努力家、ビジネスセンスと器の大きさ、運を合わせ持ったアメリカンドリーマーだったわけだよね。
テッドの子ども達が、家族経営で朝から晩まで働かされたとか、カンボジア人の家庭はみんなドーナツ屋だと思っていた、などと発言。その勢いがわかる話。
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しかし、彼は間違いを犯してしまう……はい。いろいろ間違ってしまったけれど、それを差っ引いても余りあるテッドの功績と人徳。映画に登場したみんながとってもいい笑顔でした。
命懸けで異国で生き抜き、その精神が、2世、3世へと受け継がれるドーナツの王様のお話。