チーボー

ドーナツキングのチーボーのレビュー・感想・評価

ドーナツキング(2020年製作の映画)
4.5
べらぼうに面白かったです。
爽やかな気持ちで観終われるし、
得るものもあるし、
買いたくなるんですよ、ドーナツ🍩!

要所で流れるヒップホップのビートがいずれもとても良い塩梅。洒落!
ピンクの箱に牽引されるポップな配色、アートワークもめちゃ好きでした。

典型、お決まりの栄枯盛衰ではあるんだけど、凄絶な背景とともに彼の足跡が過不足なくリズミカルに伝えられます。
カジノこわあ。

*****

カンボジアの動乱。政治、戦禍が生み出した、目を覆いたくなるような惨状。
イデオロギーがなんぼのもんじゃい。

surviveせざるを得なかった難民がどんな風に身を立てたのか、結構詳しく理解できる。
助け合う彼ら、ひたむきな姿勢が興味深いし、
尊敬して余りある。

キングは外向的な人柄、バケモノ級の器と突破力のクセに不思議なほど普通な感性。
だから数多の同胞を救えるし、慕われるのですね。

人の生命力、どうして生を手放さず、あんなに足掻けるのか。不思議でもある。
これは沢山の作品に触れる中でずっと考えていくんだろうなあ。

難民に手を差し伸べたアメリカ。資本主義には華もあったんだ、と素直に感じ入る。
大統領の言葉が良いトコどりで挟まれて効きます。
人道から政治を始めていただきたいものよ…

ただ、やっぱり行き着く先は労働力の安さ競争である、というのも改めてくっきりと。

*****

キツい仕事でも魅力、あるのかも、
とも思えてくる素敵な作品。

「菓子店経営」、今の日本で、いい加減な卒論よろしく若者に「良い仕事だと思いますか?」「なりたいですか?」とかアンケートしたら「そう思わない」多数になるよね。どうなんだろ。
チーボー

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