はんそく負け

ミカ・カウリスマキ/ママ・アフリカ ミリアム・マケバのはんそく負けのレビュー・感想・評価

3.0
僕はアキ・カウリスマキが大好きなので、その兄ミカの作品にまで彼のことをついつい結びつけてしまい、そしてそれはきっと正しくないのだけれど、しかしこのミリアム・マケバという人物の、故国に追われ海外へ脱出、流れ流れて帰国するという人生は、アキ黎明期に見られた「脱出して終わる」映画群、及び『愛しのタチアナ』辺りから現れる「そして帰ってくる」映画群、さらにはポルトガルへ移住するも終ぞ故国へ戻るアキの人生とどこか重なるのではないか。またミカ自身もブラジルに住まいを移していた時期があるわけで、彼女という題材を選んでいることへの意味を感じずにはいられない。そう考えると、この映画の邦題にミカの名前が並置されていること、無論興行上の理由だろうが、それはかなり的を得ている気もしてくる。
ドキュメンタリーとしての出来はそこまでだと思うが、世界がどんどん悪くなる中、映画はマケバのシャウトで幕を閉じる。ここは素晴らしい。