2024年41作目
無邪気で残虐
◆あらすじ
夏休みに入り、ノルウェー郊外の住宅地に引っ越してきた両親と自閉症の姉アナと妹イーダ。
やがて、同じ団地に住む男の子ベンと女の子アイシャと仲良くなり4人で遊ぶようになる。
ほどなくして4人は内なる力に目覚め、純粋な遊びが狂気に変わる―――。
◆感想
映画館で観ようと思ってたけど結局観なかったシリーズ。
ホラー&スリラーと聞いていたけど、そこまででもなかった印象。まあ、子どもたちの無邪気さの中に潜む狂気は確かに怖かったけど。
北欧らしい雰囲気(うまく説明できないけど)が良いなあ。子どもたちが主体となって物語を動かすのも高評価で、父親や母親は一応登場するけど、どこかモブのような存在にも感じて、だからこそ何が起こるかわからない子どもだけの退屈な夏休みに期待が膨らむ。
案の定、ノルウェー郊外に引っ越してきた姉妹アナとイーダにそれぞれ友達ができる。ベンとアイシャ。それの影響か、自閉症のアナの様子が徐々に変わり始めて、ここらへんの’’力’’に目覚めるみたいなのは個人的にストシン味を感じたけど…うーんあれとは全然テイストが違うか。
観ていてなんとなく思ったのは、最後はベンが悪役になるんだろうなということ。猫をあんな高い位置から落とす時点でやや狂気の片鱗が見えているし、楽にしてあげるのはそりゃそうやけど、さすがに躊躇なくやるのは道徳的とは言えんやろ。なかなか辛いシーンやった。しかも、ここから徐々にベンは力を増していくし、自分をバカにしたアイシャに敵意みたいなのを持っているのも明らかで、加えて母親はあんな感じだし、純粋やけど危険性をはらんでいるっているのが設定としてすごく面白かったです。にしても、アイシャの最後は受け入れがたい…イーダとアナがいるから、もうしかしたら退場するかも?と思っていたし、能力者バトルあるあるではあるのだけど、しかも母親の手でっていうのがもう無理…。
最後の、アナとベンと静かな戦いは見どころのひとつ。イーダとの姉妹愛も見れてってところやけど、ああいう運命しかなかったのかなベンには。確かに、アナに比べたら力の制御ができてないみたいな感じやけど、お互いを許すっていう選択肢はどこかになかったのかな?今後も平和に暮らすためには必要な犠牲だったとも思うけど、善悪の判断ができない子どもたちにとっては最良のラストだったのかもね。
見どころをいくつか挙げるとすれば、アイシャの影響で自閉症のアナが言葉を発したシーン、親たちには隠しながら力をどこまで使えるのか試すところかな。
高評価な点は、子どもたちという特異点がありつつ、それ以外は普通なところ。舞台はどこにでもありそうな住宅団地で、みんなちゃんと親がいて、夏休みとはいえ団地を出ず公園で遊んでいる家族もいて、探せばどこかにある日常なんやけど、子どもたちだけが異質というのが良い。映像や音楽もよく、ストーリーは淡々と進むんやけど、ベンの力が強くなるにつれ、ややせわしない雰囲気もあって、そこらへんの空気感というか演出がすごくよかったと個人的には思いました。