シャチ状球体

呪術召喚/カンディシャのシャチ状球体のレビュー・感想・評価

呪術召喚/カンディシャ(2020年製作の映画)
3.0
キングレコードの死ぬまでにこれは観ろ!2023キャンペーンのラインナップに入っていたので視聴。

家に居場所がないアメリが学校の勉強にも力が入らず、毎日人気のない路地や廃墟になったアパートで友人たちとスプレー缶を使って落書きをしているという導入だけはとてもリアリティがある。

人種差別が色濃く残り、仕事もない小さな町で唯一心を許せる友人達との時間。特にそれが壊されるということもなく、元カレから受けた性暴力の復讐として呼び出したカンディシャ(召喚霊)が周囲の男性だけを一人ずつ襲っていく単調な展開が続く。
アメリを取り巻く環境とその他の登場人物、そしてカンディシャ関連のホラー要素がそれぞれリンクしておらず、独立しているためにドラマ性が希薄なのが難点だ。

男性だけを狙う魔物というのもストーリー上あまり意味が無く、カンディシャの伝説がそうなっているから……以上の理由がない。そもそも主人公のアメリは狙われることがないのでホラー映画として成立していないような気もする。特に親友2人を含めてメインキャラクターが全員女性ジェンダーということもあり、あまり関係のないところで起こる連続殺人を安全な場所から眺めているような安心感があるのはスリルのかけらもなくてダメだと思う。

一応、後半にやっとアメリの父親が狙われる展開があったりはするけど、尺としては2分くらいしかないシークエンスなので特に盛り上がることなく終わってしまう。ここまで掴みどころのないホラー映画も珍しい。
せめて、カンディシャのビジュアルが普通の人間とかけ離れていれば少しは印象に残ったかも。

※動物を儀式の生贄に使うシーンがあります
シャチ状球体

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