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パラレル・マザーズのAzminのレビュー・感想・評価

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)
3.8
「ヒューマン・ボイス」に続き、本日ペドロ・アルモドバル作品2本目。

物凄く内容が濃く、いい意味で裏切られた。
我が子が病院で取り違えられる。DNA鑑定でそれが証明されたまま、その子を育てるという気持ち。
また、相手の母親から自分の本当の子が突然死してしまったと聞かされた時の気持ち。

このお話は緊迫感溢れるシーンがいくつかあるものの、さすがはスペイン。日本人が考えるような、重苦しい修羅場がほぼ無かった。
もちろん主役のペネロペが事実に悩み、1人でこの秘密を抱えていく流れは大変そうだけど、もうひとりの若い母親が絡み始めるととんでもない展開へ。

ペネロペにかなり同情していたけど、若いアナの立場を思うと少し違うとらえ方なのは仕方ない。
母親2人が1人の子供を見守る穏やかな生活、何となく優しい空気に包まれていいかも、と思っていたけどそんな都合良くはいかなかった。

それとこの物語にはもうひとつテーマがある。
こちらは日本人には馴染みのない、スペイン内戦の話。
ペネロペの祖先が内戦に巻き込まれ、どこかの集団墓地に埋葬されたまま。
それを発掘し、きちんと供養したいと願っている。

子供の問題と祖先の埋葬問題。
こんな重大な悩みを抱えていたら、私ならしんどくてたまらず、誰かに頼りたくなるよー。
幸いペネロペにも子供の父親で、考古学者のボーイフレンドがいてくれて良かったけど。

ラストは頑張って見守った甲斐のある収まり方で良かった。
発掘作業のシーンは悲惨な中にも家族の絆が感じられ、心に染みるものがありました。
アルモドバル作品、今のところどれもハズレ無し!
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