面白かったんだけど、『アンラッキー･セックスまたはイカれたポルノ』の＜自主検閲版＞で、「殺人はいいのに、これはダメなんだってよ！！！！」の大皮肉浴びた直後だったので、やっぱ、冒頭の拷問シーンは本当に必要だったのか…というところに引っかかってしまった。「爪」の描写がどうしても描きたかったので、必要だったんだろうな、という結論には至ったんだけど、やっぱレイティングとか大きな劇場でかかる意味とか、考えてしまいました。
とは言え、内容は面白い。『悪人』路線の白石和彌監督。またしても、ガラスに反射する相手の顔をかぶせたり、距離を作ったりすることで、心理状態を表現する手法が多様されてて、作家性よな、って思った。阿部サダヲ・オブ・マッドネスであることは間違いない。「せいが出ますね」「英語むずかしいよね、がんばってね」などの台詞に、脚本がしょうもないのか、コミュニケーションが空虚な人間性を表しているのか、どっちだろうと思っていたんですが、「BLTO」の時点でこれは後者であることを確信しました。素晴らしい。岡田健史さん、初めて観たんだけど、すげえ上手い（と思ったら、『新解釈・三国志』に出てるみたい。あの映画のことは忘れたいです）。
