コーディー

死刑にいたる病のコーディーのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.9
とても怪物とは思えぬ包容力や物腰の柔らかさ、けれど惨い方法で24人を殺害したという事実。そんな死刑囚◦榛村大和が訴える〝最後の1人は私じゃない〟という言葉を何故か拒めない!
彼の漆黒の瞳に映る深淵を覗こうとする程に深淵もこちらを覗いてるw常人には計れない沼に溺れた!

完全なる悪。を印象付ける拷問シーンと彼が面会室のアクリル板越しに見せる穏やかな表情…隔たりを処理できないイヤな感覚を安易な理由で埋めてくるわけでもなく、なのに絶妙な〝わからなさ〟に誘われる。ただ大学生◦雅也との面会で擦れる心情など緊張感もあるけど、やや突拍子の無さも気になるかなw

まあその辺りのメッセージ性よりもあくまでエンタメ作品として得体の知れない存在を描き、エグい表現も遠慮なく絡めちゃう白石和彌監督。温さを排し、汚れた部分を真正面から見つめる視点はやっぱ好きだな。そして真意の見えないシリアルキラーぶりを魅せる阿部サダヲの淡々とした演技も恐ろしかった!

殺人鬼相手に心擦り減らす岡田健史の演技も素晴らしいし、一見すると誰だかわからない岩田剛典の不気味な存在感も良かった。そして相変わらずナチュラルな音尾さんにニヤリw
とは言え、韓国映画に迫る勢いの痛いシーンもいくつかあるので日本映画にしてはなかなかハードです。