明宏

サウダーヂ デジタルリマスター版の明宏のレビュー・感想・評価

4.8
「土方、移民、ヒップホップ」という題材選びがすごい。こういった無数のローカルの集合で国が出来ているけど、そのローカルの現実を見ずに生活することができるのは、自分が今東京にいるからなのか、見ようという態度がないからなのか。自分が田舎にいた頃でさえ意識しなかった気がする。別の要因としては、土方や移民という存在が日本のフィクションでことさら題材とされることが無いってのもあるかも。

ヒップホップが持ってる地元性がそれらを繋げて、けして綺麗に結びつかないただそこにあり続けるリアルな群像劇として映画になっている。
日本の懐メロやブラジルの民謡や田我流のフリースタイルが映画を彩りつつ、どの曲でも自分の故郷や地元へのやるせない想いが歌われていて、バラバラの要素がバラバラの音楽によって一つに結びついてるような印象を受けた。

振り返って観ると清司と猛を中心にかなりしっかりとした顛末が描かれているんだけど、一個一個の描写が断片的でキャラクターも多くて上映時間も長いから、見ている間はどういう意味のシーンなのか分からないところも多かったから、また時間を置いて機会がある時に見直したいなと思った。

空族のフィルモグラフィーもとても興味を惹かれるなぁ〜 一貫して地方の歴史や変化、低所得者層、移民を描いてるみたい。
明宏

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