Kazu

社会から虐げられた女たちのKazuのネタバレレビュー・内容・結末

社会から虐げられた女たち(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

邦題が残念な作品が時折ありますが、この作品もそうです。
せめて原作『狂気たちの舞踏会』で良かったのでは?

19世紀末のフランス、
実在する女性だけを収容するサルペトリエール精神病院を舞台に、過去の歴史に基づき、男性、女性、社会におけるミソジニーが強く表現されている作品です。

私個人的には、様々な病気の原因や治療方法は多くの人々の犠牲あっての結果なんだと改めて強く考えさせられました。

舞台となる精神科病院の医長、神経科医ジャン・マルタン・シャルコー"振戦麻痺"からパーキンソン病を命名した教授も登場するシーンがありますが、彼の行いは正に人体実験です。

ナチス収容所と重なる。

彼は多くの臨床データをこの病院で残すことに成功していますが、その裏でこんなにも女性たちが虐げられていたとは思いもしなかった。
精神を病んでいる彼女たちを操るように毎年恒例の仮面舞踏会が開催され男性医師からの不当な扱いを受ける彼女たち。

「霊が見える」と口走ったばかりにサルペトリエール精神病院に強制入院させられる一人の女性とその施設の看護師の運命が絡み合いながらストーリーは進みます。

特に印象に残ったシーンは2人が窮屈な衣服を脱いでいく場面です。

それぞれの場所で小さな数多くのボタンを外し、締め付けられたコルセットの紐を解いて行く場面はこの作品のすべてを訴えていると私は感じました。

精神科病棟と、テーマもとても暗い内容なのですが映像がとにかく美しい、
『燃ゆる女の肖像』と私の中では並ぶ

監督でもあるメラニー・ロランとルー・ドゥ・ラージュの魂の籠った演技と美しさを評価して点数甘め。

この作品がアマプラ見放題とはほんとに有り難いです。
Kazu

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