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ある男のNAOKIのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
3.9
つまるところ…傑作じゃね?って話(笑)

地味です(笑)
「ある男」の過去を弁護士が調べていくお話なので「調査」が見せ場ですから…
アクションのない「ドラゴンタトゥーの女」みたい(笑)

ところが観ていくうちにどんどんこの地味な映画に引き込まれていくのです。

ここではもちろん一切触れませんがストーリーが素晴らしい。「人生いろいろ」なんて歌もありましたが「ある男」の人生はもちろんそれに関わった人々の人生もとても丁寧に丁寧に見せていきます。カメラや構図や編集が超良いです!

そして何よりこの映画に登場する役者たちの素晴らしい演技…
日本映画で時々辟易させられるのが泣き叫んだり喚いたりといった過剰演技…そういったものが全く見られず…抑制の効いた「リアルな人間に見える」素晴らしい演技…

「万引き家族」でカンヌの審査員だったケイト・ブランシェットに「私が今後映画で安藤サクラのような泣き方をしていたら真似をしていると思ってください」と言わしめた安藤サクラの国宝級泣き演技…とくとご覧あれ!

CMで宝くじ家族の兄ちゃんやドラキュラMAC店長をやってる妻夫木聡(笑)が「在日3世イケメン弁護士」という難しい役どころをCMとは別人としか思えない抑えた演技で見せてくれる!

そして窪田正孝!
こんなに上手い役者だった?いや上手い人だとは思っていたけどレベルが数段上がった感じ…見事でした。

その他の面々も見事!(小籔さん笑わせてくれて重い映画の中で癒しでした)

そして大人たちの事情に振り回される中学生の悠人を演じた坂元愛登クン…
この子の演技に不覚にも泣かされてしまったよ…

なんか…これぞ「日本映画」って感じがしましたね…

松本清張の「砂の器」や白石和哉監督の「凶悪」なんかに引けを取らない堂々たる映画…地味ですが(笑)

この映画…冒頭一枚の絵画が出てきます。
男が鏡を見てるのですが鏡の中の男も向こうを向いてる!男の後ろ姿が並ぶ不思議な絵…

これはそのタッチからルネ・マグリットじゃないかな?と思い鑑賞後に調べてみたらやはりマグリットの「不許複製」という作品でした。

これはネタバレでもなんでもないので是非…興味のある方はマグリット「不許複製」で検索してみてください。

おれはこの絵がこの映画を観たおれの感想を全て言い表してる!と思ったものですから…
ちょっとゾッとするような怖い絵です…

役者たち…全てがベストアクトではないか?と思わせる演技合戦…
自分の人生というものもつい考えさせる濃厚な脚本…

文句なしの演出…カメラ…編集…

つまるところ…傑作じゃね?って話…
地味ですけど(笑)
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