このレビューはネタバレを含みます
【 血統との決闘 】
自分に流れる血、すなわち血統は絶対に変えられない。これに苦しんだある男が存在した。凶悪犯である父の血を受け継いでいるからだ。ちなみに作品として、父の犯行を目にした子供の絵がとても芸術的だった思う。
もがき苦しんだある男はどうしたのか。自分の人生を上書きしたのである。そしてかつての凶悪な父ではなく、自らは優しい父になったのだ。ちなみに血の繋がっていない息子も本当にいい子であった。
不穏な物語は実は希望の物語であったのだ。ちなみに他人のために奔走した城戸の報われなさには、さすがに同情してしまう。
でも城戸もまた、再スタートを切っていたのである。今の名前だけでも、お伺いしたいところだ。
自分は変えられないけれど、自分は変えられる。人生行き詰まったら後退するのではなく、更新してゆく。ある男がそうしていたように…。