KeiRalph

香川1区のKeiRalphのレビュー・感想・評価

香川1区(2021年製作の映画)
4.3
前作「なぜ君は総理大臣になれないのか」を前回の衆院選前にNetflixで視聴して、俄然香川1区に(選挙区外なので)野次馬根性を増幅させ、果たして主人公である小川淳也氏が悲願の選挙区で当選という結果を受けたうえでの、当の選挙戦を振り返る今作。当然この時系列を踏んだ上で見た方が面白いし、何なら対抗となる平井卓也元デジタル相の流れ(ワニ動画の人とか)も踏まえておくと、より味わい深くなります。

無論、政治や選挙に興味のない人には1ミリも響かない映画だと思います。でもこの長いコロナ地獄を全国民は共有している訳で、それを良くも悪くも左右させているのは政治なので、何でこんな不自由を強いられているのかを確かめる映画としても有効だと思います。

前作は小川淳也という人物をクローズアップする内容だったので、公平さでは測れない、平井氏曰く「PR映画」と批判(当の平井氏は見たことないとの事)する節も、100歩譲って言えなくはないですが、今作についてはタイトル通り香川1区という選挙区の候補者を公平に扱うというテーマはまで取れます。

…がしかし、結局物語が進むうち、どうしても旧態依然の地盤にものをいう選挙戦で凌ごうとする平井氏の悪目立ちが過ぎていくので、善悪の対比がどんどん色濃くなっていきます。支援者何ら問題のない撮影を妨害するなど、滑稽さを越えて恐怖すら感じます。

私も公平中立を保つ心構えで、一方の肩入れをしないつもりで見てましたが、先の件も踏まえたうえで最終的な結果を見ると、速報で「小川淳也当確」の文字が出た時の選挙事務所の熱狂に、何故か貰い泣きせざるを得ませんでした…

単純に、「政治や選挙は誰のためにあるのか」を正しく見つめ直す機会として、面白い映画だとおもいます。
KeiRalph

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