鹿苑寺と慈照寺

さがすの鹿苑寺と慈照寺のレビュー・感想・評価

さがす(2022年製作の映画)
4.7
佐藤二朗ということで敬遠していたけれど、本当に観て良かった。初めてといっていいくらいに佐藤二朗さんのシリアスな演技を見ました。コミカルさも忘れないのはさすが。

脇を固める伊東蒼さん、清水尋也さんも素晴らしい。伊東蒼さんは「空白」では冒頭で万引きの疑いをかけられ疾走していたが、本作でも冒頭でとにかく走る。走る。走る。本作では父親が万引きをしてしまった所にかけつけるという奇妙な一致。

物語は予告とあらすじでわかる内容から二転三転していく。「おおっ!そう来るか!」といった感じ。飽きさせない展開でのめり込める。

父親を「さがす」というシンプルなストーリーの中に、たとえ娘であっても、子供であっても、父親の本当の姿はわからないという普遍性。
卓球とピンポン玉という舞台装置で親子の関係性、他者と他者を表現しているのがマジですごい。ラストの卓球シーンでの長回しが本当に素晴らしい。卓球を通じてようやく「対話」が成立したけれど、それでもきっちりと線を引くリアリティ。ラストカットのネットという他者と他者の境界線。圧倒されました。

智(佐藤二朗)とある女性の多目的トイレのシーンも泣ける。台詞で説明はしない。でも、観る者には伝わる演技。佐藤二朗さんにはこんな作品にもっと出て欲しいと思えた。コミカルな演技もいいんだけどね。

上映数が少なくて残念だけれど、確実に今年のベストの上位に来るだろう作品。

以下は個人的メモ
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卓球。ピンポン玉。ネット。他人と他人の境界線。

「それは有料コンテンツだね」

スーパー玉出

明らかに座間市の殺人事件をモデルにしている。

見たことない佐藤二朗が味わえる。それでもコミカルさは忘れさせない。

ラストの長回しがすごい。ネットのアップ。境界線。
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