ポスターを見て、あ、『空白』の女の子だ、と思ったのがこの映画を知った最初です。冒頭のシーンからそんなに走って道路を渡るとまた車に轢かれるぞと変な心配をしてしまいました。
劇場予告編ではあまり期待値は上がらなかったものの結局気になって観ることに。
でも最近観た邦画はいろいろと考えさせられる作品が多かったんですが、本作は登場人物の誰にも共感できなかったため、物語の展開にもイマイチのめりこめず。
例えば『すばらしき世界』も『空白』も『由有子の天秤』も、登場人物たちには私自身と重なる部分が少なからずありましたが、本作では最初から最後までどのキャラも他人事にしか思えませんでした。
また、個人差もあるでしょうが、私は佐藤二朗のシリアス演技に思った以上の拒否反応が出てしまいました。
他の役者ならばまだ違ったかもと思ったらなんとアテ書きの脚本とか。
それに反して、娘、殺人犯、メガネの女性など若手の皆さんの演技はなかなかにリアルで印象的でした。ほとんど知らない人ばかりなので邪魔になるイメージが無かったこともありますが。
監督・脚本の片山慎三は本作が商業映画一作目（デビュー作『岬の兄妹』は未見です）。
オリジナル脚本が書ける監督は貴重ですが、本作は私の苦手なポン・ジュノ作品の影響か（助監督経験があるらしいですが）具がやたら多く、しかもが調理不足でひとつひとつの具の味も活かせてないし、ひとつの料理としてもうまくまとまっていない気がしました。
また、いろいろと既視感があるのは仕方がないとしても、どれも元ネタを超えていないように思えたのも残念。
時系列のバラし方も不親切でわかり辛いし、ラストの卓球シーンも私はあざとさを感じてしまって今一つでした。
