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幻滅のlololoのネタバレレビュー・内容・結末

幻滅(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1820年代のパリってあんなに情報戦えげつかったの…?新聞の批評家の買収、劇場でヤジや拍手のサクラをまとめるヤジ屋、新聞社同士の買収合併…。

そんなドロドロで華やかな渦の中に飛び込んだ、詩を愛する青年の繁栄と衰退。物語は正直王道でそこまで真新しくはないし、予告編で大オチの“婚約者の初演にヤジ屋が裏切る”を察する場面が出てくるので肩透かしではある。

でも、男たちを中心に繰り広げられる世論操作工作、腹の探り合いの描写がすごくて、もはやドキュメンタリー観てる気分だった。

衣装や劇場や社交の場の華やかさにも圧倒された。

出てくるセリフひとつひとつが美しかったな〜。最後に明かされる、この映画の物語がナタンの書いたものっていうことだからだろうか。

「パリはスカートをたくし上げ 若き詩人に巨大な裸体を見せつけた」
「もっともらしいことはみな真実」
「美男子ね、傷付けられそう」
「あなたの名前はひとつよ、私の愛しい人」
とか…。

主演は『Summer of 85』で観たことのあるバンジャマン・ヴォワザンで、あの映画ではちょいワルイケイケ男子だったのが、『幻滅』では完全に繊細でへにゃへにゃな文学青年とイキり散らし青年を行き来してて見事だった。
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