エリオット

パワー・オブ・ザ・ドッグのエリオットのレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
4.3
配信されることを知らずに劇場で観たが背景の自然がとても美しく音楽も特徴的なのでかえって良かった。

西部劇だがドンバチはなく、じんわりと話は進んでいく…どちらかと言えば、冒頭から有害な男性性の権化のようにマッチョなカウボーイとして登場するカンバーバッチ、息子の学費のためにその兄貴と結婚して牧場にやってくるキルステン・ダンスト、そして夏休みに母のもとに帰ってくる息子(コディー・スミット=マクフィー)の3人の間で繰り広げられる心理サスペンスドラマの趣き。
後半に進むにつれ、やはりジェーン・カンピオンにカンバーバッチということで一筋縄ではいかない展開に…
60年代70年代のアメリカB級映画でもたまに見られた少し危険な香りのする重苦しい心理ドラマ(ニューロティックシネマ?)のなかに、現代的な課題も取り込みつつ、時代の終焉を迎えた西部を舞台に、美しい画と気持ちがざわつく音楽をとり混ぜて立派な作品に仕上げた監督の腕は流石だが、そもそもNetflixでないとこういう地味な作品にお金が集まらなかったかもしれない。
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