行間を読ませる演技の応酬がめちゃくちゃスリリング。正直こんなに普通にサスペンスとしておもしろい作品とは思わなかったです。
男社会の加虐性をじっくりと描く前半部分の不快さ。学歴や趣味でマウントを取るベネディクト・カンバーバッチの感じ悪い演技に見入ってしまいました。
特に義理の妹が1階でピアノの練習をしているところに、2階から同じ曲をバンジョーで遥かに上手く弾いてみせるという陰湿な場面が印象的です。
位置関係がそのもの「見下す」形になっており、彼のミソジニーな部分を映画的に示す凄みのあるシーンでした。
後半は加害者の裏にも理由が…ということを示していくものの、甘やかす展開に陥らないどころか思いがけない方向に話が転がるので先が読めずハラハラさせられました。
雄大な荒野を切り取った美しい撮影が何度も観られる映画でもあり、劇場で観ればよかったなと少し後悔しました。
ジョニー・グリーンウッドの音楽も素晴らしい。毎度ほんとにいい仕事してます。ぜひいつかオスカーを。