ニクガタナ

パワー・オブ・ザ・ドッグのニクガタナのネタバレレビュー・内容・結末

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ジェーン・カンピオン監督作品を観るのは「ピアノ・レッスン」以来で約27年ぶり。恋愛映画なの?これ?牧場営む兄弟を中心に男たちの愛憎絡めた切ない西部劇かな。タイトルからドンパチある西部劇想像してたら銃なんて全く出てこない。モノローグからすると息子が母を守る話。不穏な劇伴で何が起こるか終始ヒヤヒヤ、弱々しい優男なピーターがパワーあるフィルに襲われるんだろうなぁと思って観てたが、後半ピーターに対しては優しく紳士的だったフィルの結末が気の毒でしょうがない。伏線は張ってあるが、計画的な犯行と呼ぶには偶然に依りすぎて納得はいかない。ジャンルを初めからサスペンスと思って観ればより楽しめたかも。にしてもアカデミー監督賞ねぇ。ちょっと期待外れ。タイトル意味不明。なんかそれらしい最後の聖書の引用もピンと来ず。そもそも聖書引用しときゃ良いと思うなよ。知らねぇっつーの。極力ドラマティックにならないようにしてるのか、盛り上がりなく淡々と展開。玄人さんじゃないと楽しめないのではなかろうか?どこでロケしたのやら自然描写が際立って美しく、遠景の山並みの捉え方など絶品である。男らしく振る舞いながらやたらと涙目見せる芝居にグッとくる兄役のベネディクト・カンバーバッチ。知性的な役を演じることが多い印象だったが粗野な感じも上手い。亡くなったBHとの思い出らしきハンカチを肌身離さず股間に忍ばせ、想いを巡らせて自身を慰めるシーンは大変切ない。ストーリー上あまり役に立ってないが、メイド役のトーマシン・マッケンジーが観れて嬉しかった。精神不安定な感じが上手かったキルスティン・ダンストとダンス…しないんかい?弟よ。お前佐藤二朗に似てるって言われない?
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