伊達巻

あのことの伊達巻のレビュー・感想・評価

あのこと(2021年製作の映画)
4.2
これほど見せてくる映画はないだろうしこれほど映画で痛みを感じたこともない。出口の見えない孤独。運任せで出口を求めて彷徨うほかない苦しみ。話は60年代、60年以上も昔の話、そして今と比べて何が異なるのだろうか。中絶が合法となり技術が向上してもなお変わらず残る何も知らない男たちの「奔放さ」。問題自体は何も変わらない、これをひとつの「史実」として受け止めるか、決して終わることのないひとつの「現実」として受け止めるか。もうやめてくれと何度も思って泣いた、あの痛みを本当の意味で想像することは俺にはできないだろうが、この苦しみを、子を産む身体に生まれるということの意味を忘れたくない、この映画を観て忘れることはできない。
伊達巻

伊達巻