レトーポ試験

ベルファストのレトーポ試験のレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.6
今年の(暫定)ベスト映画の配信が始まった!
ので2回目見た

初見時に感じた強烈な愛おしさの原因はどこにあったのかを探り探り鑑賞。結果、明確に何とは言えないけど、やっぱりこの映画が好き。強いて挙げるなら『Everlasting love』かな~。

ストーリーの中心にいるのは少年バディだけど、主人公は両親だったりするのかなと思う。宗派の対立で暴動が起こるベルファスト。ここを離れるか、離れないかの物語のなかで、離れるべきと考える父親と残りたいと思う母親が対立。危険だから離れたい気持ちも、大好きな街を離れたくない気持ちもどっちも分かる。そうゆう葛藤があるなかで最終的には「家族といたい」を優先して、そのためにすべきことの決断した、子ども想いの両親の物語だったと思う。

少年バディの目線から見た街、街の人、両親、祖父母の想いや変化。監督ケネス・ブラナーが幼少を生きた激動のベルファストは、決して悲惨な場所ではなく、笑顔とユーモアでパワフルに生きる人たちの力強い故郷だったんだなっていうのが映画を見て一番に伝わる。監督に残っている故郷の記憶が、如何に美しいものかというのがかしみじみ。小自伝的映画としてとってもすばらしいです。

当時のベルファストで起こってた宗派の対立による暴動やそれによる家族への影響も描かれているのだけど、この映画の鑑賞後感は初見時も今回もほのぼのとした愛おしさだった。激動の時代であれど、地域のみんなが知り合いといった環境の中で思いやりとユーモアを持って暮らしてた当時の人々をより強調して描きたいケネス•ブラナーの想いが強く伝わった(さっきも似たようなこと書いた)。宗派の対立とか日本人には馴染みがないし、実際自分にも実感できるものはないけど、この映画の「ユーモア」と「郷愁」の一点(いや二点)とキャッチコピーの通り「明日に向かって笑おう」とする人たちの物語にかなり心惹かれる。

いろいろ書いたけど、大好きな曲がめちゃめちゃ良いシーンでかかるだけでもうその映画は大好きになるんだよね。





↓初見時に書いた感想。何か結構興奮してる。

『Everlasting Love』が流れた途端、込み上げてたものが全部外に出た。劇中で流れる曲が全部良すぎる。こうゆう映画が賞レースの先頭を走ってるっていうのめっちゃ嬉しい。
とても暖かくユーモアたっぷりで笑えるんだけど、暴動、衝突と隣り合わせの街を描いているため手放しで楽しくは見れない。定点カメラで撮られた心地の良い和かな日常を見ていると、急に始まる暴動にドキッとして、現実を見せられる。その繰り返しによって大好きな家族、隣人、故郷を離れなくてはならない辛さを、少年バディの目線で描かれているから、より辛い。それでも前向きで明るいバディが本当に本当に本当に愛おしかった。数学の順位による席替え、気になる子との恋、祖父母のやりとりなどなど、もう愛おしすぎてずっと見てられる。作品全体的に宗教による衝突の悲惨さよりも、家族愛、地元愛にフォーカスして且つ希望を持って描いているから、明るく見れた。ポップな音楽の演出もその一つだと思う。個人的ことではあるけど、地元を離れた身として故郷を思い出さずにはいられなかった。皆んながお前を想っていると分かっていれば不幸ではない、的なセリフか印象に残ったし、全くその通りだなと。
(スーパーから)なんでも持っていける状況において、バディが選んだのは「環境に優しい」洗剤。子どもながらに家族、隣人、ベルファストを愛するバディに泣いた。あのシーンは笑ったし泣いた。ケネスブラナーの小自伝的映画ということもあってか、幼少期を投影したバディが映画や演劇を愛する存在として描かれてるのが良かった。『マイティ・ソー』のコミックを読んでる小ネタとか最高だった。
『明日に向かって 笑え!』ってキャチコピー良いなあ!
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