10円様

ベルファストの10円様のレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
3.8
 ベルファスト、ようやく観賞する事ができました😊アカデミー賞作品賞はこれが獲ると思っていたんですけどね〜残念💦
 何となくケネスブラナー色とはちょっとかけ離れたような作品でした。とても真面目な内容なんですが、思った以上に情勢を子ども目線で描いていて、またセリフが笑わせてくれるんですよね。背伸びしている子ども、何にも分からない子ども、躍起になってる大人、俯瞰している大人。これはシリアスな歴史ドラマというよりは見事なまでに悲喜劇を融合させてくれた作品です。
 「ジョジョラビット」よりはコメディに走ってない。「ぜんぶフィデルのせい」より小難しくないとても優しい小作でした。やっぱりこれにアカデミー賞獲って欲しかったですよ😭

 「結局洗濯洗剤持ってくんかい!笑」

 なんてツッコミを入れる余裕があるほどマイルドなんですが、本当はかなりシビアな題材です。それをこんな風に料理するケネスブラナーはやっぱり素晴らしい!「マイティーソー」とか「アルテミスと妖精の身代金」を監督した時はどうしたものかと思いましたが、そちらも凄い上手に作ってるんですよね。正直ねぇ〜監督賞くらいは与えても良いんじゃないかなぁ😓

 アカデミー脚本賞を獲っただけの事もあり、やっぱり台詞のひとつひとつが面白いです。この状況を何とかしようとする大人たちの横では、子どもが子どもなりの考えで論じている。的外れな考えなんだけど、子ども達なりにしっかりと考えている。そして彼ら子どもにとって一番大切なのは、宗教でもなく、民族でもなく、友達や友達と一緒に過ごした町なんですよね。子どもにしてみればただそれだけの事なのに、大人が面倒臭くしてしまっている。大人に抗うわけでもなく、少年時代を精一杯生きている子どもをとても丁寧に描いていました。

 ケネスブラナーっていったらシェイクスピアの映画とか古典映画ってイメージが強いけど、これはコメディよ😆

 そう言えば私、滅多に泣かない子どもだったんですが、小学校5年生くらいだったかな?家の都合で転校するかしないかって話が出たんですよね。引っ越すのはほんの隣町だったけど、小5にとっては遥か彼方ですよ。その時は泣きましたね。何が嫌かって友達と離れるのが嫌だったんですよね。結局引っ越しも転校もしなかったのだけれど、小5にとっては友達と離れる事って命を失うに等しいんですよね💦この映画を観てあの頃を思い出してしまいました🥺

 役者もイギリスやアイルランド系で揃えたっぽく、独特の気品や優雅さ、強さってのが伝わってきますね。いっその事ケネスブラナーがおじいちゃん役で出れば良かったんじゃないかな。と思いましたが、いやいや、彼はこの映画の中ではあくまで自分は子どもでいたかったのだ。もしおじいちゃん役をやってしまったら、ケネスは大人として映画を作らなくてはならない…なんて事を考え、これはケネスブラナーの童心の映画のまま終わらせてあげよう。賞レースとかもどうでも良いや、残念だけどだけど…と思いました😌
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