翠

ベルファストの翠のネタバレレビュー・内容・結末

ベルファスト(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

プロテスタントとカトリックが対立する北アイルランド問題を描いた今作。
日本人の自分は、元を辿ればどちらもキリスト教なんだよなあと思ってしまうが、分離した教派の溝は深い。
今作では1969年に暴動が起きているが、分離した二つの教派の因縁は16世紀頃からあったそうな…いまだに完全におさまっていないのね。

暴動が起きながらも、主人公である少年バディはたくさんの愛に囲まれて逞しく生活している。
クラスの好きな女の子、ユーモア溢れるおじいちゃん、厳しくも優しいおばあちゃん。
そして出稼ぎに行っている父と、優しくてたまに怖いお母さん、守ってくれるお兄ちゃん。
映画や音楽が好きで、のびのび育つバディ。どんな環境でも子供は育っていく。

暴徒と一緒にスーパーを荒らしたバディを怒る母の演技が本当にすごかった。
次こんなことしたら殺すわよって台詞、本気で怒らないと出てこないよね。
そして一緒に着いてきてと言った女の子に対してもかなりの怒りを見せる。暴動が起きているシーンよりも一番震えた。母強し。
ベルファストから引っ越しを決めた出来事も怖かったが…父が撃たれると思ってしまった。
クリスマスを穏やかに過ごし、家族で映画を観る。
しかし最後にバディ一家はベルファストを去る。
バスに乗る前、バディが好きな女の子に会いに行くが、僕とあの子は結婚することはないだろうね、と。
それに対し父は、宗教は関係ない、みんな認め合えたらいいね、ということを言っていたのがこの作品が一番伝えたいことだったんじゃないかな。

アイルランドの貧困を描いたシング・ストリートや、少年を主人公にしたジョジョ・ラビットに通じるところがあったかもしれません。
そしてフランシス・ハのような現代モノクロ作品。モノクロ作品って観やすいんだな〜
翠