初めてヴィスコンティの作品を見たのは高校生のころで「家族の肖像」だったから1980年。
当時ちょっとしたヴィスコンティ・ブームがあって71年日本公開の「ベニスに死す」はリバイバルで見たと思うので、本作で出てくるビョルン・アンドレセンの日本でのフィーバーぶりやレコードを出していた事実などは今回初めて知った。
しかし、彼が「世界一美しい少年」と謳われるにふさわしいことは高校生男子の私にも一目瞭然だったし、少女マンガ好きの同級生女子にの中にも嵌っている子はいた記憶。
本作は当時の映像と現在の彼が日本、パリ、そしてベネチアを訪れる様子を取り混ぜて提示し、栄光盛衰というよりはずっと孤独だった彼の人生を描き出す。
とても興味深い内容だったが、最近、観察型のドキュメンタリーばかり見ていたせいか、スローモーションなどの演出とエモーショナルな音楽とかがかえって作品のテーマの提示を邪魔しているような気がした。