福福吉吉

世界で一番美しい少年の福福吉吉のレビュー・感想・評価

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)
3.0
◆概要◆
映画監督ルキノ・ヴィスコンティに見出されて「ベニスに死す」に出演することになったビョルン・アンドレセンの人生を映像やインタビューによって辿っていくドキュメンタリー作品。

◆感想◆
ビョルン・アンドレセンの人生はルキノ・ヴィスコンティに認められたことから大きく歪んでいったことが描かれており、ビョルン自身の口からは「ベニスに死す」の出演が彼の人生にとって悲劇であったことが語られていて、とても衝撃的でした。彼の祖母はビョルンを積極的に芸防活動を求めていたようですが、本人は一切望んでいなくて苦痛であったことが分かってまさに悲劇でした。

1970年当時、15歳だったビョルンは「世界で一番美しい少年」という称号が納得できる外見をしていて、彼に魅了される人々が多かったこともうなずけます。

本作では現在のビョルンと15歳当時のビョルンという二つの側面で描かれていて、現在のビョルンは高齢でどこかだらしない雰囲気があって、15歳の美少年も年をとれば皆と変わらず老いるものだなあと当たり前のことをしみじみ感じました。

ビョルンは映画がリリースされて来日して芸能活動していて、日本語で歌手デビューもしていて聞いていて、親近感が湧く一方、これも本人は望んでいないのだなあと少し悲しい気持ちになりました。

「世界で一番美しい少年」という称号が呪いのようにビョルンの人生に絡まっていて、彼が望まない道を進んだことになんとも切ない気持ちになりました。人生って上手く行かないものだなあとため息が出る作品でした。

鑑賞日:2025年3月17日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2024年3月21日)
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