9.11同時多発テロで失われた命。
測られるはずもない命の値段を算出する
永遠に答えのない使命に挑んだ人々のストーリー。
アメリカ全土を震撼させた惨事において
犠牲者と遺族の苦悩はさらに計り知れず、
この事件、犠牲者、遺族と正面から向き合った
最前線の立場が
この9.11被害者補償基金の存在であるように感じた。
彼らとともに
一人一人の物語を聞いていくにつれ、
当時の出来事や
被害者がこれまでに歩んできた人生、
そして閉ざされてしまった未来が浮かんできてしまう。
命に値段をつけるという
道義的でない使命を全うする為、
序盤では人道を捨てなければならないと
冷徹さを保つケンであったが、
道義的でないからこそ
人の道を捨てずに正面から立ち向かうことの
正義を見せつけてくれるラストに涙する。
やはり当時の映像にはこんなに時が経っても慣れず
冒頭から終始、沈んだ気持ちは取り返せない映画であるが
当時のこうした活動に支えられて
今は前を向いている人々がいることを考えると
さらに熱く感じてしまうものがある。