サンヨンイチ

ワース 命の値段のサンヨンイチのレビュー・感想・評価

ワース 命の値段(2019年製作の映画)
3.8
9.11同時多発テロで失われた命。
測られるはずもない命の値段を算出する
永遠に答えのない使命に挑んだ人々のストーリー。

アメリカ全土を震撼させた惨事において
犠牲者と遺族の苦悩はさらに計り知れず、
この事件、犠牲者、遺族と正面から向き合った
最前線の立場が
この9.11被害者補償基金の存在であるように感じた。
彼らとともに
一人一人の物語を聞いていくにつれ、
当時の出来事や
被害者がこれまでに歩んできた人生、
そして閉ざされてしまった未来が浮かんできてしまう。

命に値段をつけるという
道義的でない使命を全うする為、
序盤では人道を捨てなければならないと
冷徹さを保つケンであったが、
道義的でないからこそ
人の道を捨てずに正面から立ち向かうことの
正義を見せつけてくれるラストに涙する。

やはり当時の映像にはこんなに時が経っても慣れず
冒頭から終始、沈んだ気持ちは取り返せない映画であるが
当時のこうした活動に支えられて
今は前を向いている人々がいることを考えると
さらに熱く感じてしまうものがある。