クリープハイプのMVも手掛ける松居大悟監督作品。
劇中にもメンバーが登場しライブするだけでなく、尾崎世界観(Vo.)氏に至ってはセリフのある隠れたキーパーソン。
冒頭に結末に近いシーンを持ってくる構成はさほど珍しくないが、そこから1年ずつ過去へ遡っていくのが面白いところ。現実世界のコロナ禍を象徴するようなマスク姿や東京オリンピックといった要素から引き込まれる。
繰り返し映される舞台は、同じ構図で映すことで比較的に見せ、そこに秘められたストーリーを時間と共に徐々に肉付けしていく。
ただ、今が20〇〇年であることを目立たせて映すカットがほぼないため、あらすじを知らないと始めはその構成に気付けず時系列で混乱するかもしれない点が気になった。
コロナ禍を明確に描写した本作。それが現実とリンクし、観た人にとって戻れないあの日々をちょっと思い出すようなそんな作品。