ハリ

ちょっと思い出しただけのハリのネタバレレビュー・内容・結末

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

物語は2021年7月26日から始まり、そこから1年間毎に過去の話に遡っていく。タクシードライバーの葉は過去に交際していた昭夫をひょんな事から思い出し、過去の思い出に浸っていく。

別れたカップルの時間軸が逆行するので普通の恋愛映画とは違った角度から鑑賞することができた。現在から過去に遡ることによって、ストーリー上は徐々に2人の距離が縮まっていくので感情が最高潮になっていく。だが現実はもう終わったカップルであり、最初と最後で現在の姿を出すことで上手く過去と今とのコントラストが強調されていた。

出逢い分かれお互い別々の道を歩んだ6年間を2人の速度でしっとり写し出し、それでいてお互いが別れるまでの足跡を鮮明に表示してくれている。

2人が一緒になっていたらどうなっていただろう?と葉が想像するシーンはあるが、それはもう戻れない過去の物語。だから再開すること無く1つの思い出として心の中にしまったのだろうか。

お互い決して過去を悔いてるのでは無いし、過去に戻りたい訳では無く、現在の生活を営みながら過去の思い出を゛ちょっと思い出しただけ゛の物語。

商店街で弾き語る尾崎世界観が上手くBGMとして機能していたり、思い出の場所や人物や小物の軌跡もしっかりと辿ってくれて伏線回収もきっちりしていたのでストーリー構成に飽きること無く鑑賞することが出来た。
個人的評価:名作
ハリ

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