薔薇

叫びとささやきの薔薇のレビュー・感想・評価

叫びとささやき(1972年製作の映画)
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イングマール・ベルイマン監督。
癌に犯された次女を看取る為に姉と妹は屋敷に帰ってくる。

イメージが強烈すぎる映画だった。舞台となる屋敷はどこも赤で埋め尽くされている。人物達の心境描写ともとれる回想や回顧のシーンの中にも”血”が登場し、さらには赤のフェードアウトも頻繁に使われる。

そんな強烈なイメージに対して、シーンが屋敷内のみなのでとても閉鎖的な映画になっている。三姉妹と1人のメイドの閉鎖的な心の欲望が垣間見える異常なシーンの数々が”赤”のイメージで、より暗い雰囲気を出していた。

顔のアップとバストショットの連続で構成されていた。思ったのがリアクションを捉えたショットが大量にあった。カメラ側の対象を見た時の撮られている側の人物。近すぎるくらいだが演技も伴って、三姉妹の関係のぎこちなさがよく見える演出。

ホラー映画に余裕で勝る終盤のある展開が凄い。上記の演出が際立つシーン。ていうかこれ以降ホラーでよく使われてるやつなのか。三姉妹の不気味な関係性が埋め立てられるかのような勢いの最後の文章には驚いた。死んだ人間のみがハッピーエンドを迎える。妄想巻き起こる終盤は本当に混乱して面白い。

タイトルの“叫び”のシーンは見るのも苦しい。『エクソシスト』の叫びのシーンは明らかにこの映画からだと思う。”ささやき”が生み出す確執も苦しい。幸せなラストシーンはただ救い。
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