タカシサトウ

叫びとささやきのタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

叫びとささやき(1972年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

[三姉妹、一筋縄でいかない三女優]

  子宮癌で苦しんだアグネス(ハリエット・アンデルセン)は、独身で子供もおらず、子供の頃は母の愛を妹のマリア(リヴ・ウルマン)に奪われていた。だが、姉妹とアンナに見守られ幸福のうちに亡くなる。

 それに対して、姉のカーリン(イングリッド・チューリン)もマリアも、夫も子供も居るが、決して満たされてはおらず、しかも二人は理解もし合えない。この、アグネスと二人の姉妹の対比が凄まじく見応えがある。

 また、カーリンもマリアもやりあうが簡単には引き下がらないので、この対決も凄かった。アンナのカリ・シルバンもいいが、三姉妹の女優も一筋縄ではいかない三人で思わず見入ってしまう。

 イングマール・ベルイマンのこれはもう何度も観ているが、まるで舞台のようで、またしても素晴らしかった。 (2018.8.26)

アグネスが幸福のうちに亡くなり、カーリンと妹のアンナも、空虚なのが皮肉だと思う。

 そして、姉妹のやり取りが、まるで、母の子宮のような赤い部屋で展開され、男たちは、誰もがほとんど存在感がない。

 姉のカーリンは、ベルイマンの母と同じ名前で、ベルイマンの母を象徴しているとのことで、それも凄まじかった(2020.12.20)。