チッコーネ

修羅の街、飢えた狼たちのチッコーネのレビュー・感想・評価

修羅の街、飢えた狼たち(2021年製作の映画)
3.2
広大な中国の地方都市で開発計画が進むと、利権獲得に向かう醜い争奪戦が繰り広げられる…、そんな内容で一部実話というサスペンス。
土地を買い上げられる代わりに金銭を受け取れるはずが、代々住む者と新参者では値段が違うとか…、共産主義は一体どこへ。
また開放政策が軌道に乗ってはや数十年、「小皇帝」および彼らを育んだ親たちの強欲な生き様、その片鱗を戯画化しているという意味では資料価値が高い。
とは言え妙に物分かりが良く協力的な演出が充てられた上層部、そしてラスト10分の公安プロバカンダぶりは本作でも顕著。
登場人物たちがどのように裁かれたのか量刑まで丁寧に表記するテロップ(死刑がかなり多い)、および過去数年の汚職検挙数を説明するテロップは中国内向けなのか、字幕なし。
奇妙な隠蔽ぶりは共産党の指示なのか、配給側の判断なのか?
その内容まで咀嚼してこそ、量産化傾向も顕著な現代中国商業犯罪映画の楽しみが完成すると思うのだが。
主演のチアン・ウーは、兄ウェンにそっくり。