月うさぎ

ジギー・スターダストの月うさぎのレビュー・感想・評価

ジギー・スターダスト(1973年製作の映画)
5.0
私が子供だった頃、デイヴィッド・ボウイは既にカリスマ・スターで、少女漫画家の間では特別なアイコンとして存在していました。彼女らの洗礼を受けてボウイを特別視するようになったのが、音楽を聴くようになるよりも先でした。
最初は顔と声のミスマッチ(?)にギクリとしたものです。
え~え~、そうですとも、私もビジュアルから入ったクチなんです。
でも、それで終わらせないのはボウイが本物だったからです。

彼の表現は既存の美を破壊した先にある美です。
そして魂の深淵の声を再現するための詩。

時々に変容する声はその姿についても同様で、一時もファンを油断させないボウイ。

その手始めであり極め付けがこのジギー・スターダストというキャラクター。
ボウイはここでは人間ですらありません。
宇宙人として地球にやってきた救世主であるロックスターを演じきってみせたのです。
その時代の貴重な映像を映画として記録したのがこの作品です。

1973年7月3日ロンドンのハマースミス・オデオンで行なった最終コンサートの模様を収録したライブドキュメンタリー。

昔六本木に「俳優座シネマテン」というレイトショー専門の映画館(本来は劇場)があったのですが、そこで初めて観ました。
今、こうして映像を所有でき、好きな時に観られる幸せを噛みしめつつも。
でもあの時、スクリーンで出会ったボウイはもっと感動的だったし、
会場のファンと共にすごした空気は貴重だったと改めて思います。
映画の終りは拍手に包まれていました。
あの夜が夢のようだった。

イギリスにおいて、ザ・ビートルズとボウイはおそらく2大重要アーティスト。
彼らの影響力は音楽にとどまらず、カルチャーの様々な部分に浸透し、確実に世界を、価値観を変えた人達だからです。

これはロックの歴史のひとつなのです。
時代の痕跡をたどることのできる幸せを残してくれてありがとう。
今に生きる人は監督に感謝しましょうね。

衣装の一部は日本のデザイナー、当時27歳だった若き山本寛斎が担当しました。


♪演奏曲♪
Hang on to Yourself 君の意思のままに
Ziggy Stardust
Watch That Man あの男を注意しろ
Wild Eyed Boy from Freecloud フリークラウドから来たワイルドな少年
All The Young Dudes すべての若き野郎ども
Oh! You Pretty Things
Moonage Daydream 月世界の白昼夢
Changes
Space Oddity
My Death
Cracked Actor 気のふれた男優
Time
The Width of A Circle 円軌道の幅
Let's Spend The Night Together 夜をぶっとばせ
Suffragette City
White Light/White Heat
Rock 'N' Roll Suicide ロックン・ロールの自殺者

名盤と名高いアルバムもあわせてお勧めします。
 ↓
『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars』
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