メ～テレ製作の「ノット ヒロイン ムービーズ」の第1弾である「わたし達はおとな」が面白かったので、第2弾である本作も楽しみにして観てきました。
というか最近は中島歩を銀幕で見るのが楽しみ、という感じになってきていますが、松井玲奈さん演じる顔に痣のある女性の物語で、ルッキズムにまつわるアイデンティティが主題に据えられている成長譚でしたね。
ルッキズムといえば、判断する側として僕も無縁ではないし、一方で判断される側としても肌が超白いので異端視され蔑まれた経験もあるので、松井玲奈さん演じる主人公の懊悩が多少なりとも当事者として理解できる感じでした。
ま、肌が白い男と顔に痣がある女性とでは、実際問題、だいぶ悩みの深さは違うと思いますけど。
そういう意味では松井さんのキャラクター描写はリアルで親近感と繊細さがあり、なおかつ世間知の低さゆえの純粋さと紙一重の愚かさが愛おしく、藤井美菜さんとのシスターフッド的な連帯は（やや作劇が過ぎるとは思ったけど、特に火傷のくだり）グッときましたね。
そしてみんな大好きイケボクズ野郎がよく似合う中島歩、相変わらずでよかったんですけど、中島歩演じる映画監督の言動に“否”の要素が多く、もうちょっと彼のキャラクターにある程度の正しさというか「それも一理あるよな」と共感させる部分がないと彼が悪者に映ってしまうので、このテーマで物語が進むうえで松井玲奈とのキャラクタードラマのバランスが悪い気がしました。
そこが終盤に向かうにつれ気になったところですかねー。
中島歩の部屋がチャラいとか、いけ好かない要素も多くて（それは個人的なことかもしれないけど）、松井玲奈に対して中島歩が最終的に悪いやつになってしまうのが、ルッキズムの孕む倫理と生理が拮抗する難しさというところまで到達せずに物事を単純化してしまっているのではないか、と思いましたことですよ。
惜しい…！というところですかね。
