たかちゃん

デスパレート・ランのたかちゃんのレビュー・感想・評価

デスパレート・ラン(2021年製作の映画)
3.4
林道をランニングするヒロイン。スマホに情報が入ってくる。息子の高校で銃乱射事件が発生したらしい。犠牲者も出た模様。息子は無事なのか。駈けつけようと林の中を走ったら足を捻挫。スマホで知り合いに片っ端から電話。自動車修理のオヤジから「息子さんの車を警察が調べている」との情報。息子が容疑者?。警察からも情報を得ようとする。
登場人物はナオミ・ワッツだけ。走行困難になり、情報を得ようと周囲を巻き込んでゆく。その行為に共感を覚えるか、迷惑な行為と断じるかで、本作の評価は分かれるだろう。
スマホを掛け捲るだけのシチュエーション・スリラーとして、成功はしているが、しかし近作『ナイトライド 時間は嗤う』もスマホを掛けまくっていたが、車の中だけのワンカットという工夫があった。本作は大自然の中に取り残された母親の不安というマクロとミクロの対比で描いているところが工夫と言えようか。
学校の銃乱射事件を扱った作品は、ガス・ヴァン・サント『エレファント』や、マイケル・ムーアのドキュメンタリー『ボウリング・フォー・コロンバイン』があるが、これらを凌いでいるだろうか。銃社会への批判はなく、母親の不安だけで引っ張っている。そこが少し物足りないものの、実験的スリラーとして興味深く観た。
たかちゃん

たかちゃん