rage30

アメリカン・アンダードッグのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

実在のアメフト選手、カート・ワーナーを描いた伝記映画。

一言で言えば、アメフト版『ロッキー』って感じの作品かな。
『ロッキー』がそうであった様に、本作はアメフトの描写だけでなく、主人公カートのパートナーとなる女性ブレンダとの関係もじっくりと描きます。

恋する女性がシングルマザー…しかも子供が盲目だと知っても、臆せずに受け入れるカートは見上げた男だな~と思っていたのですが、仕事を優先する事で2人の間にヒビが入ってしまうと。
ブレンダの父親にも窘められていましたが、「成功しなければならない」という重圧を自らに課すのは、トキシック・マスキュリニティの一つと言えるでしょう。
だからこそ、カートが自ら反省し、プロポーズをする場面にはグッと来るものがありましたし、盲目の子供からの手紙には泣かされるものがありました。

一方、不満点としては、アメフト関係の描写が分かり難かった事。
私自身がアメフトに疎いという事もあるのですが、QBが自由に動き回って何が悪いのか分からなかったし、アリーナフットボールリーグを始め、アメフト界の構造もよく分からず。
アメリカ人はあれだけアメフトが好きなのに、野球やサッカーの様にアマチュアリーグや2部リーグがないんですかね?
カートの成功は素晴らしい事だけど、それと同時に、これまでカートの様な人間を見捨ててきたNFLのエリート主義は如何なものかと思うし、NFLからこぼれた人の受け皿も整備すべきなんじゃないかなと思いました。

アメフトという題材を考えると、まぁ日本では配信スルーになるのも仕方ない気もしますが、主演はザッカリー・リーヴァイだし、負け犬の逆転劇を描いた話の中でも、ここまでの成功を収めた人はなかなかいないはず。
何より、実話という点では『ロッキー』を超える強度を持った作品でもあるので、アメフトに興味のない人も見る価値のある作品かなと、個人的には思います。
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