コマミー

雨を告げる漂流団地のコマミーのレビュー・感想・評価

雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)
3.1
【壊され、忘れ去られるもの】



「ペンギン・ハイウェイ」「泣きたい私は猫をかぶる」などの"スタジオ・コロリド"の最新作だ。

2作を観て思ったのは、このスタジオの作品は私は苦手な事が分かってしまったのだ。

①「ペンギン・ハイウェイ」は疾走感はあったのだが、話は正直よく分からない。

②「泣きたい私は猫をかぶる」は、まるでジブリ作品の二番煎じのようなストーリーで、脚本に岡田麿里さんが参加しているにも関わらず、力及ばず。

だが、この作品で唯一信頼出来るところは、"絵のタッチ"だ。アニメーション映画の良くなる秘訣というのは、私はどっちかを取るか、どっちも良くするかだと感じている。ぶっちゃけどんなに物語に中身がなくとも絵が"綺麗"ならば、観客はその画面に釘付けである。
本作はまさにそれだと感じている。物語は全体的に置いてけぼり。その分岐点となるのが、"団地"が漂流し始めて"のっぽくん"と言う謎の少年に出会ってからで、そこからはもう難解で追いつけない。だが、全体的な"光のタッチ"がとても綺麗で癒される。キャラクターの描き方もとても子供らしくて良い。

絵のタッチは良いのだが、それでも劇場で観るには物足りない作品であるだろう。物語は観客を完全に置いてけぼりにするし、キャラクターの中にも馴染めない人物もいる。

ですが、何度も言う通り、背景だけでも楽しむ価値はありそうです。
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