風来坊

聖闘士星矢 The Beginningの風来坊のレビュー・感想・評価

聖闘士星矢 The Beginning(2023年製作の映画)
2.5
東映アニメーション主導ではありますが、アメリカの製作会社ステージ6も製作に名を連ねているし、監督はポーランドのトメック・バギンスキー監督でキャストは主人公以外は外国の方が中心で言語は英語と日本映画というよりはアメリカ映画な雰囲気。

監督は長編映画は2作品しか撮っていないですが、テレビゲームの「ウィッチャー」などのトレーラーで知られ、どちらかというと映画監督というよりはCGアニメーターなので本来は漫画原作でCGを多用するような本作とは相性は良い筈で東映もそれで白羽の矢を立てたと思うのですが…。

製作費は約80億円とハリウッドの大作並みで満を持した筈が、興行収入は世界収入と合わせても10億円にも届かなかったという記録的な大赤字…。
映画よりも大コケの方で話題になったという悲しさで、話題作なのにフィルマでもレビューが5000にも満たないというのが人気の無さを如実に表してます…。

原作はドンピシャの世代で漫画もアニメもゲームも一通りは知っています。ただハマっていたのは黄金聖闘士編まででそれ以降のポセイドン編やハーデス編はチラ見程度。
導入は「鉄拳」かと思う雰囲気でとても聖闘士星矢の世界観とは思えません…。
監督は大の聖闘士星矢ファンらしいけどコスモの概念もなんか違うし、クロスをアーマーと表現してるしホントにファンかと疑ってしまいます…。

ビギニング(前日譚)の話だとしてもあまりに原作と世界観が違うしなんで近未来なSFチックにした?ビギニングとしても星矢以外の青銅聖闘士が出ないのは寂し過ぎる…。(一輝?みたいなのは居ます)その変わりに原作ではほとんどモブだったキャラ(辰巳)をマイロックとして主要キャラにしてるし…。
グラード財団も変に改変されてるし何よりもあの女性が(沙織)役でアテナなんて…性格も全く違うしイメージがまるで違う…。おしとやかさと気品の欠片も無い…。
外国製作だからもあるけどアテナというよりジャンヌ・ダルク感。

何でもかんでも原作に忠実に寄せろとは言わないけれど、これはあまりにも私が知っている聖闘士星矢ではありません…。
聖闘士星矢といえばクロスですが本作のクロスはわざと地味めでリアル志向にしたのは分かるがカッコよくない…。コスプレ感が満載過ぎるし、中国の三國志時代の鎧に見える(笑)CGアニメ版もかなり思い切ったクロスの造形だったけどあれはあれでカッコ良かった。

ファムケ・ヤンセンさん、ショーン・ビーンさん、マーク・ダカスコスさん、ニック・スタールさんと私の好きな俳優陣揃いでそこは良かった。
キャラとしてはマリンが1番マトモでしたね。ちょっと修行シーンは長いけど、簡単には強くなれないのは良いとは思う。

聖闘士星矢とは観ずに格闘アクション映画として観れば面白いとの声もありますが、聖闘士星矢で売り出している以上それはムリな話…。
確かに新田真剣佑さんのアクションはスピード感があって素晴らしいし、造って来た身体もバキバキで映えてます。ハイブリッドな格闘アクションシーンもなかなか見応えはある。

必殺技叫びが無い事を評価している方もいますが、やっぱり必殺技叫びは個人的には欲しい。当初は6部作の企画だとも言われてましたが、この大爆死でそれも泡と消えそう…。
続編があったとしてもほんさくは無かった事の仕切り直しじゃなかろうか?
意外に良かったと評価の声もあるけれど、個人的にはガッカリしかなく…よくこれでGOサインが出たなと思わずにいられない作品でした。

まとめの一言
「この作品では俺の小宇宙は燃えない」
風来坊

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