片腕マシンボーイ

夜を越える旅の片腕マシンボーイのレビュー・感想・評価

夜を越える旅(2021年製作の映画)
3.4
ハッカー同士のバトルを描いた「電気海月のインシデント」は正直アナログ人間のマシンボーイはハマらなかったんやが、低予算ながら高クオリティな良作やなぁとは思っていたんよ、その監督の新作がホラー作品やって事でドキドキしながら観てきたよ

社会でてから会っていなかった大学のゼミ仲間達と3年ぶりに会って1泊2日の小旅行へ出かけんぞ、日も暮れた頃来ないと思っていたあの時好きやったあの子もやってきてなんか青春が蘇ってきたなぁ!なるも……なんだかおかしな事態になってきたんやが!ヒャー!って話

う〜む……男3人女2人で山小屋に旅行ってのは完全に古き良きアメリカンホラーをリスペクトした展開で、それだけでもうテンションあがるし、漫画家を目指すも全く芽の出ない主人公のクズっぷりも潔く、ひゃ〜どんな酷い目に遭うんか楽しみしかないぜぇ?ってワクワクするものの、まぁ馬鹿なメリケンみたく直ぐにおセッセに励み速攻殺されたりしないんは奥ゆかしい和の心に則っていると思えば悪くは無いんやが……
いざ本格的にホラー展開となってからイマイチ盛り上がらないんが如何ともし難てぇ!

そうねぇ、初期旅行メンバーの5人のうちの半数以上がまずホラー展開に気づきすらせんと、あれ?主人公の子精神的に病んでるんかな?くらいの感じで解散してしまったんはどういうことかね?マシンボーイはペーパードライバーなのに大型車運転させられる羽目になった黄色ニットお姉さんの悲鳴が聴きたくてウズウズしていたのに!ぷんぷん、お調子者キャラの兄ちゃんが幽霊にアタフタなる展開も観たかったよなぁ!

他にも楽しくなりそうな種をそこら中に放置しては忘れていく冬眠前のリスさんみたいに惜しい作品でしてね
立ち入り禁止のボロ橋と石揉みおじさんとか……まぢ、お!これは楽しくなりそうやぜ!思った次の瞬間スルーするしやね
玉葱と葱の違いについて大口論する定食屋夫婦のサイコパス感がアメリカ映画のガソスタのように、「デスフォレスト」の定食屋のように、定番のホラーポイントになることもなく
駅でヒロインと別れるシーンは明らかに寅さんリスペクトなんやが、同じクズでも主人公に寅さんのような愛嬌も哀愁も感じられなかったし
マシンボーイ的にあの素晴らしきアバンギャルド霊能カップルが大活躍すればNEO様に次ぐ好きな霊能者キャラとして長く記憶に残ったであろうし
男同士の死のデートももっと掘り下げて描いて欲しいワクワク感あったんやが……
主人公連れ去られる恐怖世界の雰囲気とかは、まぁ「電気海月のインシデント」ん時にも感じた、この監督とはインテリアとか服の趣味絶対に合わないだろうな……感で個人的には好きくなかったし
ラストの呆気なさはもう消化不良過ぎて、序盤中盤のワクワク感に対して尻つぼんじゃったなぁ……って感じやったよ、ラストに放置に放置を重ねたフラストレーションがエクスプロージョンする展開が欲しかったなぁ!ドカーン!

そうね、だから上手さは感じたもののテーマが好みでなかった「電気海月のインシデント」と逆で、テーマは興味深かったものの、全体的に物足りなさが漂う作品でしたねぇ、ただ独特の世界観を持つ監督なんは間違いないから今後の活躍にも期待はしたいです、食べ残した梨を棄てるカットとジャンケンの回収とかは見事でした!