からかす

義足のボクサー GENSAN PUNCHのからかすのレビュー・感想・評価

義足のボクサー GENSAN PUNCH(2021年製作の映画)
3.0
予告編の印象だと身障者もの兼ボクシングものの映画に見える。
が、実際のところ本作はほぼボクシング映画である。
何故なら劇中では義足であることがボクシングの試合に
支障をきたす所が"ほとんど無い"からである。
トレーニングも普通にこなすし、
リングに上がればハードな試合を行う。
一人のボクサーがアイデンティティ、プライドをかけて戦う映画であり
だからこそボクシング映画としてものすごく正統派な映画。

一方で"ほとんど無い"と前述した通り
ほんの少しだけ支障になる点、
映画序盤で提示され、何よりも大きな支障である所。
「義足ボクサーにプロライセンスを付与すべきか否か」という問題。
劇中で描かれる通り適切な環境さえあれば
義足であること、身障者と健常者に何の境目もなく
ノーマライゼーション的なスタンスも取りうるのでは無いか。
ここが難しいところで、安全のラインをどこに設定するかで
その判断は変わるので安易にGOサインを出せないのも分かる。

撮影はほぼハンディカムで画面が揺れている。
これはかなり好き嫌いが分かれるところだが
こと本作においてはフィリピンのちょっと混沌とした感じと
試合の生々しさを演出するのに一役買っている。

これは劇場が悪いのか、または意図的なものか分からないが
音響が悪い。
試合やトレーニングなどガヤガヤしたシーンでは気にならないが
静かなシーンやセリフの掛け合い、そしてクッソ長いエンドロールでの
劇伴に終始ノイズがのっていてそれがどうしても気になる。
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