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WeWork/470億ドル企業を崩落させた男のmegurosのレビュー・感想・評価

3.8
邦題は「〜崩落させた男」とあるが、原題はWeWork: Or the Making and Breaking of a $47 Billion Unicornなので、470億ドルユニコーン企業を作って壊した話。

“今まではiが中心(iPhoneとか)だったがこれからはwe”だとか、”フリーランスと小さな会社がこれからの世界を作る”だとか、そうした連帯のビジョンは死んでいない。むしろ、コロナ禍を経た都市生活者にとってはかつてより響く世界になっているはず。

しかし、世界を変えるためにビジョンが拡張されていく中で、WeWorkのコア、あるいはアダム・ニューマンの魔法のコアにあった最も身近な社員やコミュニティに対するWe意識が薄れていってしまったように感じた。最終的には自分だけ退職金をもって逃げてしまうのだから、本当に残念というしかない。

孫正義から類似企業が出るから「もっとクレイジーになれ」と言われるエピソードが紹介されるが、どこからか間違った意味でおかしくなっていってしまった。金遣いが荒くなったり、自分の妻を役員に入れだしたりはまず危ない兆候なのだと認識。社員が「働き方を変えるだけでも大変なのに、教育にまで手を出すなんてヤバいと思う」というのは本当にそうだと思う。

共同創業者のミゲルさんはどういう風に考えていたのだろうか。彼の話も聞いてみたかった。
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