ボサノヴァ

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀のボサノヴァのレビュー・感想・評価

4.0
ナイト・オブ・ザ・リビングデッドの公式リメイク版。ロメロの設立した制作会社に10代で入社後、彼の右腕として頭角を表し、数々のホラー映画で特殊メイク・俳優として参加した才人トム・サビーニが、本作で初監督したというエピソードが胸熱。

そもそも、元ネタのナイト・オブ・ザ・リビングデッドはロメロ痛恨の「著作権取り漏らし事件」によって、誰でも〇〇オブ・ザ・デッドを使い放題な状況となり、第三者による「勝手にリメイク」が横行。数々の劣化コピーが制作された(このエピソードが、寧ろゾンビジャンルの拡大に寄与したという事実が、何とも示唆に富んでいる)が、それらの作品も勿論それぞれちゃんと愛するとして、さすが源流である本作は、面白さの点で抜きん出ている。意外とゴア描写も抑えめなので、これから過去のゾンビ映画を掘っていく方には、まずはこの作品をオススメしたい。


さて、本家ナイトオブとの大きな相違点として最も重要なのは、主人公の女性、バーバラのキャラ設定変更である。実は、本リメイクのバーバラが、より原作の初期設定に近い(もともと強い女性として描くつもりだったが、役者の力量不足から、足手まといキャラに変更された)らしいのだが、この改変が功を奏し、より意味のあるリブートになった。

物語の中心に据えられた密室劇において、このまま立て籠もるのか、それとも地下シェルターへ逃げ込むのか、という、どちらにしても絶望的にしか見えない究極の選択に対し、バーバラが主張したのは「外へ出て戦う」という超攻撃的なプラン。みんなから思いっきりディスられる、元ネタに無い第3の道の提示により、物語がぐっと深まりを見せるのだが、けっきょく誰の主張が正しかったのかは、見てのお楽しみ。Netflixにあるよ。
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