りっく

コンバージェンス:危機のなかの勇気のりっくのレビュー・感想・評価

3.5
新型コロナによって逼迫する世界中の医療現場。本作はそこで患者を診察する医師ではなく、病院で働く清掃員や、病院に行けない人々を送迎するボランティアやソーシャルワーカーの活躍にスポットを当てる。縁の下で社会の混乱を支える人々に焦点を当てるという意味では、フィクション映画ではあるが、ベン・スティラー監督の傑作『LIFE!』といった作品が頭に浮かぶ。

そこから浮かび上がるのは、今まで政府や行政が見て見ぬふりをしてきた問題の顕在化だ。見捨てられたスラム街、街のために医療従事する難民や移民、公衆衛生教育の失敗。命の危険を冒してまで医療現場で働いているにも関わらず、保険の対象から除外されれ、患者もコロナで死んだら、その家族は在留許可が取れない。機能しない行政に頼ることなく、自ら行動を起こす人々の尊さは胸に迫るものがある。

「国家の分断はウイルスが付け入る隙になる」という印象的な言葉の通り、混沌とした世界の社会的な病理も浮かび上がらせた後、本作は見捨てられた人々の声を「連帯」という形で世の中に提示する様を映し出す。だが、コロナという終わりの見えない闘いを描きながらも、その問題を中途半端に切り上げて主張を押し通す構成は、ドキュメンタリーとしてはスマートではないようにも思う。
https://shimacinema.hatenablog.com/entry/Convergence%3A_Courage_in_a_Crisis
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