映画好きの柴犬

モスル~ある SWAT 部隊の戦い~の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

3.9
会いたい、ただそれだけ

 IS支配下のイラク・モスルで、指揮系統を外れたSWAT部隊のミッションを、新人隊員の視点で描く。

 ジャンルとしては戦争アクションでフィクションなんだけど、IS支配下のイラクの実態を垣間見せるドキュメンタリーに近い。まずは冒頭、まさに瓦礫の山と化したモスル市街の空撮から度肝を抜かれる。そのあとは、はぐれSWAT部隊の戦闘をひたすら追っていくんだけど、市民が容赦なく標的にされていく様が痛々しい。

 「娘は戦場で生まれた」で描かれたシリア内戦もそうだったけど、中東の内戦は、自分たちの国を破壊し尽くし、自国の一般市民を殺しまくる。自らの首を絞めているだけにしか思えないのだけど、一部の権力者たちは安全なところでぬくぬくしてるんだろうな。

 タイトでリアルな戦闘アクションものとしても見応えあるけど、最後に明かされる部隊の任務から浮かび上がる切実な思いが胸を打つ。