近本光司

リコリス・ピザの近本光司のレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
3.0
まるで街全体にマリファナの匂いが立ち罩め、だれもがハイになっているような、そんな1970年代初頭のロサンジェルスの気分にノれるか、ノれないか。

ご両親まで総動員されているハイムの面々、まことにご苦労なことであった。わたしが妙に憶えているのは、ユダヤ教のハイム一家をめぐるシークエンス。アラナの家の晩餐に招かれた若い男の子は、自分は無神論者だといって食前のユダヤ教の祈りを断り、敬虔な信者であるハイム父を怒らせてしまう。アラナは彼の無礼に苛立って、割礼を受けているくせに、と荒々しく敷地から追い出す。ハリウッドのショービジネスにユダヤ人が多かったことは有名な話だが、 1970年代のロサンジェルスでは、はたしてどのくらいのユダヤ教徒がいて、どれくらい自身の信仰をオープンにできたのだろう。ブラッドリー・クーパーの「バックハンドは得意?」やショーン・ペンのキマり具合も悪くはないのですが、わたしはもっぱらそうしたどうでもよいことばかり考えていました。