「ハッピーアワー」で電車にのって逃げるフレンチ・コネクションみたいなシーンを書いたのは野原さんだったのか。なんとなくそんな感じがする。それくらい本作は電車の映画であった。電車から偶然目に止まった養子の文字が生人を呼び寄せるところから始まり、電車が生人だけをホームに吐き出して終わるまでの出会いと別れの映画であるように感じた。
本作は息子を置いて出ていった生人の実の父親がまともに見えるくらい、正常な人間が一人も出てこないのがミソ。特にたけしのラップは聞いてられない。全てをビートに乗せてきたらそらみかこさん壊れますわ。
みかこさんの壊れた演技もなかなかにリアルで素晴らしかった。あの車の中の圧倒的なディスコミュニケーションは考えて作れるものではない。
そういう意味で、非常に音楽的な映画のように思えたが、肝心の音楽がたけしだったので萎えました。あのラップのクオリティなんとかならんかったもんか。
あと元夫とのカップリングがハッピーアワーと同じだったが、今回の元夫のイカれ方はまた一味違った。そして頭チリチリなってますやん。
濱口竜介の描く狂人は心に大きな空洞があるが、この人の描く狂人は存在が空洞のような感じがして面白い。「ハッピーアワー」見返したいが、正直しんどい。