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オマージュのIPPOのレビュー・感想・評価

オマージュ(2021年製作の映画)
3.3
60年代、激動の韓国で女性映画監督となり、その道を開いた実在の人物(多少設定を脚色している)にスポットを当て、韓国社会の一つのテーマになっているフェミニズムに柔らかく光を当てたヒューマンドラマ。

特段面白味は無いのだが、「韓国映画史」を「ジェンダー」目線で描いた点に意義があるのだろう。「女性映画監督としての生き様、あり方、未来」を女性である監督が自ら重ねたセルフオマージュ。

『パラサイト』の家政婦役のパンチが強すぎたイ・ジョンウン。名脇役として売れっ子の彼女の初主演作。…がやはりパラサイトのようなああいう役を期待しちゃう自分がいる 笑


あと、もう少し脇役キャラが立っていて欲しかったかな。韓国映画にしては登場人物がクセ弱で物足りなかったかも。

他のユーザーの感想・評価

フィルムを修復する作業の場面のオッキさん。日常生活も大変な様子の高齢者から、在りし日の職業婦人の面影をみせる彼女が良かった。
hikaricom

hikaricomの感想・評価

3.5
世に溢れる、●●をオマージュした云々、って商品やサービスの薄っぺらさを改めて感じた。
モチーフは興味深いのだが。
作りがもうちょっと、人の手が入った方が良かった。
テンポ、芝居、などなど。

見る人を意識していない感じで置いてけぼりされた。
はむ

はむの感想・評価

3.5
韓国映画史上2人目の女性監督の作品を修復するスランプ気味の映画監督ジワン。欠落したフィルムを探す過程で出会ったのは時を超えて届いた女性たちの悲痛な叫びと、自らの情熱だった…
ジワンの抱える現実と幻想的なタッチにチグハグな感じもしたけどなかなか味わい深い作品でした。
韓国で初めて映画を撮った女性映画監督、ホンジェウォンは3本の映画を遺した。事実かどうかは知らない。3本目の「女判事」で映画を作ることをやめてしまったと映画は語る。検閲により、ストーリーの辻褄が合わないほどシーンをカットさせられたということなので、それてやになっちまったのかも知れない。
色々とできる素材だと思うが、控えめ過ぎはしないか?
パラサイトのイジョンウンの映画監督らしさを描くことを抑え、夫や息子との関係を描くことに尺を割いている。察しの悪い私はなぜだかわからない。
築浩

築浩の感想・評価

2.5
3/12:新宿武蔵野館
[SCREEN]#1
観賞記録:2023-114
チョッと、ドキュメンタリー映画チックで珍しい感じ韓流映画な印象。
ただ、肝心の完読周りのキャラ立ち(掘り下げ)がイマイチで、映画に対する熱意など感情移入し辛い部分も…。
くらげ

くらげの感想・評価

4.0
これ面白いのにポスタービジュアルからは内容が想像できなくて損してる気がするなー。

韓国で売れない映画監督をしている普通の地味なおばさんが主人公。

売れてないから家族らも邪険に扱われてて、夫からはもう家に金入れないと言われ、息子にはもっとちゃんと家事をやれと言われちゃうんだけど、その辺も日本同様に家事は女の仕事という古い価値観からくる女性の社会進出の大変さが伺い知れる。

ある日韓国初の女性監督のフィルムの検閲で削除されていた部分の吹き替えの監督を依頼されるんだけど、足りない部分があることに気付いてそれを探すことに。

この検閲でカットされたフィルムを探すサスペンスと、過去と現代の女性の生き辛さや社会進出の問題をバランスよく織り交ぜたストーリー展開が秀逸。

足りないフィルムが意外なところから発見されるんだけど、当時は廃フィルムをああいう風にリサイクルするのはよくあることだったらしい。

すっかりヨボヨボになった元編集者の女性が、古い機材を引っ張り出して見つかったフィルムを生き生きと編集するシーンがとても良い。

女性がタバコを吸っているだけでカットされちゃってるところがあったりして、当時の女性差別が伺える。

先日国立映画アーカイブで同じ様に検閲で抜けていた部分を新しくアテレコした映画を見たんだけど、なんでここはOKなのにここをカットしたの?と不思議に思うところが結構あったので、とても面白く見ることができた。

韓国の男尊女卑と日本の男尊女卑はかなり似ているので、日本人の私にもとても身近に感じられたし、大分変わってきてはいるものの、まだまだ女性が働くのは大変だよなと暗澹たる気持ちになった。
しかも日本のジェンダーギャップ指数ランクは韓国より低いのだ…

それでも前向きに仕事に向き合おうとする主人公に元気をもらえたし、駐車場の自殺騒ぎのくだりも面白かったし、重くなりすぎないバランス感覚が上手いと思った。

ちなみに主人公はパラサイトで追い出された方の家政婦役の人。
あれは怖かったけど、今回は私時々レッサーパンダの主人公みたいで可愛かった。
y

yの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

オッキさんが生き生きとフィルムを修復するシーンめちゃ良かった
asami

asamiの感想・評価

4.0
『オマージュ』
オンライン試写にて視聴。

韓国の女性映画監督・シン・スウォンが、
自身の出会った映画人と、自らの生き方を投影し制作した映画。
主演は様々な映画やドラマでバイプレイヤーとして大活躍のイ・ジョンウン。




ヒット作に恵まれず投資も集まらない。
新作を撮る目処が立たない映画監督のジワン。パートナーのプロデューサーが抜け、
家庭でも夫や息子とぎくしゃく。

そんな彼女が引き受けたのは、60年代に活動した韓国の女性映画監督、ホン・ジェウォンが残した映画『女判事』の復活。
フィルムは一部欠落しており、音声も吹き込む必要があった。
ジワンは、ホン監督の家族や当時の関係者のもとを訪ねながら真相を探っていく・・・。



映画監督、妻、母、1人の女として。
どの立場でも足が絡まる中年女性のジワンが、60年代の女性監督の失われた映画を
甦らせていく。
その過程で知る先達たちの生き様。

映画界での女性の生きづらさ、映画への思い。限りある人生をどう生きていくのか。
私にはものすごく刺さりまくった。
素晴らしい映画だった…

何よりもイ・ジョンウンが最高だった。
喜怒哀楽は少ないけれど、
途方に暮れた40代のジワンを見事に演じていた。
それでもジワンは下を向かない。
灯りがつくる影の中に、過去にもいた女性と
手を重ね、また歩いて行くのだ。

彼女は私のチングだ。
胸を打つ。

ジワンの息子を演じたのはタン・ジュンサン。
『愛の不時着』『ラケット少年団』で堂々たる演技だった。
今作も母への愛を風変わりな形で伝える、
愛すべき息子を公演していました。

その他、大ベテランのクォン・ヘヒョが夫役。堪らない空気を醸し出していた…

この1月で観た映画は「映画愛」「女性主人公」「生きづらさ」がテーマの作品ばかり。
そして彼女たちを救うのは映画や詩、
物語、そして自分を愛すること。

私は彼女たちを愛し、励まされている。


#オマージュ
#シン・スウォン
#イジョンウン
#タンジュンサン
#韓国映画
#映画愛
#女性映画監督
Rinko

Rinkoの感想・評価

3.5

韓国映画、ドラマファンなら…

\ なんて贅沢な座組 / と悶えるはず!!

パラサイトの家政婦さんでお馴染みの
イ•ジョンウンの初主演作品👏

ストーリー展開に派手さはないものの
フィルム修復を通して
女性監督が人生を歩み直す物語

妻、母、女性…
色々な立場で悩むイ•ジョンウンに
自分を重ねて観る人多そうだなぁ

うん、結果良かった👍
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