はる

奈落の翅のはるのネタバレレビュー・内容・結末

奈落の翅(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

札幌にて。

本当に最高の映画だった。観たあと「ほんと良かった」しか出てこなかった。

現在のコロナ禍の中での人々の鬱憤や陰鬱な気持ちが凄くよく表現されていた。今までは自分達でそれらを発散できていたのに制限された生活の中では他者に攻撃的になるしか自分を維持できない人間の絶妙なバランス。
そんな中で、スケートボード乗り達は滑ることで自分達を維持している。向かう先が奈落であろうとも、スケートボードで滑ることによって得られる楽しさ、自由さの方が彼らにとっては大事なものなのだなと感じた。

そんな大事なスケートボードを、死ぬ直前まで滑りきって、更に奈落(地獄)に落ちてからも滑っているのはむしろ天国なのでは??めちゃくちゃハッピーエンドじゃん、と思えるラストでした。
死んだら終わりでもないし、死ぬことがバッドでもないと思うし。
自分的にはバッド要素が見当たらなかった、、ブラック企業で長時間労働して、社長がトんで無職になって、そのせいでヤクザに追われても、友達のメルセデス事故らせてもスケボー狩りで仲間が死んでも、要所要所で主人公はしっかり自分の意思で行動していたし最後は仲間の敵討ちして死んでるし、悔いは無いんじゃないかと。

映画を観た後、小林監督とスケーターの池田さん、助監督のしののめさんのトークがあったのだがそこで小林監督が「終電で帰れればラッキーなんですよ。映画1、2本観れるから。仕事だけで1日を終わらせたくない。次の日に影響が出ようが、仕事に全てを取られたくない。そういうのが俺にとっては映画で、ジン君(映画の主役)にとってはスケートボードで」とお話されていてめちゃくちゃ共感しかなかったし印象深かった。
全編iPhoneで撮影しているというのも驚いた。撮影技術などはよく分からないが、それでもこの描写凄いな!や、かっこいい!!と素人目でも思える部分沢山あったのが全てiPhoneで出来るなんて。

観れる機会は少ないと思うが、機会があれば是非観ていただきたい映画。
はる

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