コーディー

マイスモールランドのコーディーのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
4.5
幼い頃にクルド難民の父と共に日本に渡ったサーリャが努力を重ねて育んできたアイデンティティ。そんなようやく出会えた〝私〟が今尚、背負わされるこの国の制度の現実。何度も打ちひしがれ、それでも懸命に光を求める彼女に対し湧き上がる親密な感情と遣る瀬なさ…凄く好き!

クルド人コミュニティや父から教わる民族の誇りを理解しながらも、流暢な日本語を話し日本の社会に溶け込むサーリャ。5歳で渡った彼女にとってこの国こそ居場所なのに…失われる在留資格。〝しょうがない〟と諦観を抱きながらも不当や抑圧に抗おうとする姿、淡いロマンスも絡んでの葛藤に胸が詰まる。

サーリャを演じた嵐莉菜さんの静かに心を映す表情と直向きさ、そして彼女の実際の家族が劇中の父、妹弟を演じてるという事で、そのドキュメンタリー宛らな家族4人の空気感も更に物語へと浸らせる。特にババの可愛さったらw深刻な状況でも家族を包み込む大きな愛に溢れてて、とても愛おしく切なかった。

情感に訴える埼玉と東京の県境などリアリティある風景に重なる葛藤。行動範囲の制限など知らない事も多くて余計に湯さぶらるし、サーリャと聡太の言葉少なな疎通にも未来への想いと何も変えられない無力感や不安が静かに溢れる。
嵐莉菜と奥平大兼の初々しさも本当に素晴らしかった!
余韻おさまらんw